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私が愛した極悪キャラクターたち

その14 獅駝洞の三の大王(三大王)

  中国の娯楽古典「西遊記」に出てくる悪役妖怪のうち、私が一番好きなのは、金角・銀角でも、牛魔王や羅刹女でもなく、獅駝洞を根城にする三人の大王のう ち、その末弟である三の大王(訳本によっては「三大王」とも呼ばれます)なのですが、実は、日本で制作されたTVドラマ版「西遊記」では、この獅駝洞の戦 いのエピソードが全くと言っていいほどカットされています。かろうじて、手塚アニメ「悟空の大冒険」(1967年)の第34話「人喰いジャングル」に、こ の獅駝洞の三人の大王をモデルにしたと思われる三妖怪が出てくるのですが、原作に出てきた大王たちは「悟空の大冒険」に登場した妖怪たちほど矮小な連中で はありません。もっとも、三人の大王が出てこないだけで、日本テレビの1978年版「西遊記」の第25話「妖怪帝国突破大作戦」とかは獅駝洞のエピソード が元ネタだったのではないかとも思われ、その後の「西遊記」作品にも、たびたび「妖怪だけの国家」という設定が登場していますので、そのへんのルーツは全 て獅駝国じゃないかと邪推してみる事もできそうです。
 原作「西遊記」に詳しくない人向けに、獅駝洞の三人の大王について、少し説明しておこうか と思います。すでに、金角・銀角も牛魔王も倒して、向かうとこ敵なしだった三蔵一行の前に、仙人である太白金星が立ちふさがり、それとなく忠告します。こ の先の獅駝嶺には強大な三人の大王が5万人近い子分妖怪を従えて、陣取っているので、回り道して先へ進んだ方がいいというのです。力自慢で偏屈な孫悟空 は、あえて一人だけ先に前進し、大王たちに挑んでゆきます。
 さて、ここで、大王たちのスキルなのですが、三人揃って、五百羅漢や四海龍王、十代 閻王らとも対等につきあっているような大物ばかりみたいです。三人とも、あえて「金角」とか「牛魔」などと言った個人名は持たず、ただの「大王」であるあ たりが、何となく、別格の大物らしさを感じさせたりもします。
 三の大王は、もともとは、妖怪だらけの獅駝国(元は人間の都だったが、三の大王一 味が乗っ取った)に住んでいたのですが、三蔵法師を捕らえる手助けをしてもらう為に、わざわざ二人の大王と義兄弟になったと言います。このへんからも、三 の大王がいかに狡猾かがお分かりいただけるでしょう。強力な大王妖怪同士で手を組む事で、悟空に確実に勝てる陣営を固めたのです。自分から兄弟のちぎりを 願い出た以上、三の大王が末弟扱いなのですが、実際には、あらゆる点で、三の大王は二人の兄大王よりも勝っています。
 二人の兄大王は、それぞれ 強力な超能力を持ちながらも、けっこう老齢なのか、弱腰でお人好しな部分もあり、悟空の罠にはまりそうになるたびに、三の大王の入れ知恵に助けられます。 このへんは、もう原作を読んでもらうのが一番いいのですが、この獅駝洞のエピソードで、常に悟空を苦しめたのは三の大王なのです。三の大王は、三蔵法師を 食う計画を持ちかけた張本人だけあって、かなりのしたたか者で、悪知恵も働くし、戦闘力も悟空と互角です。その上、空飛ぶスピードはキン斗雲に勝ると言う 怪物なのです。さらには、金角の瓢箪よりも高性能な陰陽二気瓶と言う超兵器まで持っていて、この陰陽二気瓶に危うく悟空は殺されかけます。「西遊記」に は、様々な強力妖怪が出てきますが、この三の大王のみが、策略、戦闘力、神通力、超兵器の全てを兼ね備えた、まさに最強の妖怪だったのです。
 三 の大王の最後からも、それは伺いしれます。悟空が苦戦した敵妖怪のほとんどは天界関係者で、二人の兄大王も例外ではなく、その正体は、文殊菩薩の乗用の青 獅子と普賢菩薩の乗用の白象だったのですが、こうした妖怪たちは、主人や上司が出てくると、突然、おとなしくなってしまいます。三の大王も、そうした天界 関係者に取り押さえられる事になるのですが、彼を屈服させたのは、なんと釈迦如来でした。「西遊記」世界ではナンバー1である釈迦如来が自ら手を下した悪 妖怪は、「西遊記」内では、この三の大王を除くと、ニセ悟空の六耳獼猴ぐらいなものであり(ただし、六耳獼猴の場合は、その正体を釈迦如来と諦聴だけしか 見抜けなかったと言う、やむを得ぬ事情があった)、それだけ三の大王は強力な存在だった訳です。
 この三の大王の正体は、大鵬という霊鳥でした。鳳凰の子供で、孔雀の兄弟だと言うのですが、これは「西遊記」でのみ語られる家系図かと思われます。
  

 

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