第12話「地球の征服者」  
RETURN OF ROYAL  

 

      ○上空  (昼間)

   雲間を、大きな旅客機が優雅に飛んでいる。
   ところが、旅客機は、突然、大爆発し、空中で粉みじんと化す。
   少女(影子のニセモノ)の楽しげな笑い声がオーバーラップする。


      ○JR駅  (早朝)

   都市圏の大きな駅。ゴールドラッシュで、人込みで混雑している。
   プラットホームに電車が到着するが、これもまた、突如として、大爆発する。
   駅内は混乱し、あちこちで火災が発生し、おののく乗客たちが逃げ惑う。
魔人の声(あざ笑いながら)ざまみろ、影子め!
       全ての事件の原因は、お前のせいにされるのだ。
      我ら<まぼろしの大公>に楯突いた愚かさを思い知るがいい!

   タイトル「第12話 地球の征服者」


      ○どこかの都市の大通り  (昼間)

   人や車であふれている。
   高層ビルの壁の一つが巨大スクリーンになっており、ニュースが流れている。
   アナウンサーの戸燈と、影子の顔写真が写しだされている。
戸燈(テレビより)悪質な連続テロ犯人・影子が起こした破壊活動の為、
        昨夜は70名もの負傷者が出ました。
      これ以上、彼女の暴挙を許してはいけません!
          彼女を見つけた方は、すぐ警察までご一報ください。
       以上、SCUM放送局よりお伝えしました

   歩道の一角を、実は、大きなふち付き帽子で顔を隠した影子も歩いている。
   ノートパソコンと、ガバガバのボストンバッグも抱え、
   その中に隠れたバルの姿が、鞄のすき間から、わずかに見える。
   影子は、テレビ放送を耳にして、苦々しそうに顔をしかめている。
   そして、そんな影子のあとを、
   影子と同年齢ぐらいの好少年、法鬼高二郎が、
   渋い表情をして、つけている。   (FO)


      ○ビルの一室

   小じんまりとして、何も置かれていない。
   その中央に、まるで、閉じ込められたかのように、アヤと下子がたたずんでいる。
   二人は、不安げな表情で、抱きあっている。

   そこへ、ドアを開けて、USPに連れられた牧村博士と球異が入ってくる。
球異(わめく)こら、放せ!おいらは、地元が生んだ名探偵だぞ
アヤ(牧村の姿を見て、パッと)パパ!
下子(驚いて)先生!
牧村(嬉しそうに)二人とも元気そうで良かった。 人探しごっこは、もうおしまいだ。
      これからは、また私と一緒に暮らそう

下子(牧村へ)でも、なぜ、いきなり?
    私たちを、ここに連れて来て、閉じ込めた連中と、先生はどういう関係なんですか

牧村(USPの姿を見ながら)失礼な事を言っちゃいけないよ。
      この人たちは、政府の直属の警察の皆さんだ。
    実は、私は、政府首脳の宇呂子さんに自宅への招待を受けたんだよ。
      これは、とても名誉な話だ。お前たちも、ぜひ、一緒に連れていきたくてね。
     それで、この人たちに、お前たちの捜索をお願いしたんだ。

   (球異の姿を見て、苦笑いしながら)
       まぁ、一人、関係ない奴も混じっているみたいだがね・・。
    それと、影子さんは、現在、凶悪な犯罪者として指名手配中だ。
       彼女の保護者である間野ひさおさんも行方不明の今、
           これ以上、深入りするべきではない

球異(驚いて)ちょ、ちょっと、それほんと?
      影子ちゃんの保護者って、ひさおさんだったの?
        おいら、彼女に頼まれて、影子ちゃんを探してたんだよ!
     それに、ひさおさんが行方不明だと言うなら、報酬の方はどうなっちゃうの?

下子(やじる)なんだ、お前。何も知らないで、影子さんを追っ掛けてたのかよ

牧村(アヤたちへ)それじゃ、パパと一緒に来てくれるね
   アヤが、嬉しそうに、コクリとうなずく。


      ○避暑地・宇呂子邸そば  (夕刻)

   大きな湖のそばに、宇呂子の巨大な豪邸がポツンと立っている。
   完全に彼らの私有地らしく、他に建物は無く、周囲は自然環境に包まれている。

   その宇呂子邸を、やや離れた場所(身を隠せる所)から、
   影子と法鬼が、じっと偵察している。
   バルも、そばを飛んでいる。
法鬼(鋭く)あの屋敷に忍び込むのは、かなり難しそうだな
影子(冷静に)でも、奴らを倒さないと、人々に自由は戻ってこないわ。
      末端で抵抗しているだけでは、奴らはまるでダメージを受けやしない。
         誰かがやらなくちゃいけないのよ。
     それにしても、あなたは、よく、エコの事を信じてくれたわね

法鬼(つぶやくように)当たり前だ。俺は、京子ねえちゃんの仇をうちたいんだ

   法鬼の手に、一枚の写真が握られていて、
   それには、法鬼と、彼の美しい姉・京子の姿が写っている。

      ○法鬼の回想

   夜の町。大きなビルの一つが、火災で燃え上がっている。
   そのビルの最上階の窓の一つから、
   取り残された京子が身を乗り出し、助けを求めて、手を振っている。
   すでにビルの回りには、ロープが張られて、立入禁止で、
   最前列で踏ん張っている法鬼が、泣きながら、京子の名を連呼している。

男の声(どこからともなく)おーい!放火犯人の影子がいたぞぉ!
   法鬼は、ハッと、声の方に目を向ける。
   遠くの方へ走り逃げてゆく影子の姿がチラリと見える。
   冷たく笑っている影子の顔は、微妙に本物とは違う。

      ○避暑地・宇呂子邸そば  (夕刻)

   先のシーンの続き。会話する影子と法鬼。
法鬼あの時、かすかに見た犯人の顔は、
      似てはいたけど、確かに、あんたではなかった。
    だとすれば、本当の犯人は別にいて、
     今、一番信用できるのは、むしろ、
       犯人に罪をなすりつけられようとしているあんたの方なんだ。
    だから、俺は、あんたについていく

影子(ほほえみ)ありがとう。それならば、一緒に仇をとりましょう


      ○宇呂子邸内・ホール  (夜)

   たいへん広い場所で、夕食会が開かれている。
   主催者の宇呂子と魔人。
   招待されたのは、牧村博士を筆頭とした、アヤ、下子、球異たち。
   他にも、宇呂子の友人らしき人々やUSPの警備員で、ごったがえしている。
   なお、魔人は、前話のラストで負傷したらしく、右目に黒い眼帯をしている。

牧村(魔人へ、礼儀正しく)今日は、私たちのようなものをお招き、
         本当にありがとうございました。
       何と、お礼を言ったらいいものやら・・

魔人(冷ややかに)いえいえ。
      私の方こそ、貴重なお話を聞かせていただき、感謝しております。
     あなたの娘さんの体に、影子、すなわち、野民の血が混じっていたとはね。
        しかも、野民化する事もなく、こうして、人間の姿のままで生き続けている

   魔人の話に、牧村やアヤたちは、不安げな表情になる。

魔人ご存知のはずですが、政府の方針で、全ての野民は駆逐対象となっています。
     あなたの娘さんとても例外ではありません。
       たった今より、我々は、あなたたちの身柄を拘束させていただく事にします。
    非常に特殊なケースである、あなたの娘さんの体の仕組みについては、
      まもなく、この屋敷に到着する、
     西洋の三博士の一人である天才医学者メイスン教授に調査解明させたいと思います

   魔人の言葉が終わると共に、
   USPが、おののく牧村、アヤ、下子、球異たちの周りをグルリと取り囲んでしまう。
   魔人は、楽しそうに冷笑している。


      ○宇呂子邸・玄関  (夜)

   屋敷同様、とても広く、門から屋敷までの間も大きな庭園となっている。
   門のところで車から降りた高齢のメイスン医師と一人の側近が、
   屋敷の方むかって、暗い庭園の道をゆっくりと歩いている。
   突然、二つの人影がメイスンたちに襲いかかり、
   メイスンを草むらの中にと引きずり込んでしまう。
   間もなく、草むらの中から、
   メイスンのコートを身に付け、ヘタな変装をした法鬼と、
   看護婦姿の影子が現れる。
   影子と法鬼は、うまく入れ替われた事に満足し、お互いに目配せすると、
   そのまま、屋敷の方へと歩き出す。   (FO)

       (CM)


後編へ続く