1、小説としての「影の少女」

 私が、「影の少女」のリメイク版を書くにあたって、一番、意識した部分は、実は「小説でしか書けない手法」への徹底したこだわりでした。
 だって、そうでしょう?
 私は、小説以外にも、マンガやシナリオなども書いている訳ですが、絵や映像でも十分表現できるお話なのでしたら、何も、小説にする必要はないのです。
 特に、大学生の頃から、私は、もっぱらシナリオを書き始め、小説離れし始めていました。この「影の少女rewrite」は、私が久々に書いた長編小説でもあったのです。
 この作品では、いわゆる、「小説だけの持ち味」といたしまして、字の文にかなりのウェイトを置きました。セリフ以外の状況描写的なものを、いかに文章で表現するかこそ、小説だけでの醍醐味なのでございます。それも、ただの物理的状況の写実描写でしたら、絵や映像でも代用できますので、むしろ、心理告白、比喩、回顧説明みたいなものが主体となっています。
 よって、この「影の少女rewrite」と言う作品は、そのまま完全マンガ化、完全映画化なんて行為が絶対できない作品なのであり、まさに「小説という媒体でのみ、存在が許された創作」なのであります。
 たとえば、第5話「子どもの地獄」では、もくもくと色々ないじめが紹介されてゆく訳ですが、この平坦な披露方法をマンガや映像に上手に移植する事は、ほぼ不可能でしょう。
 他にも、セリフと字の文のバランスにも、各章ごとの見せ方のこだわりがあって、たとえば、第1話(序章)は、最後に一つしかセリフが無かったりするのですが、別の章(第13話とか)では、えんえんと会話だけでストーリーが進められていたりもします。
 言わば、全体を通して一貫した表現形式が用いられているのではなく、各章の見せ方がそれぞれ独立した、「見せ方見本市」とも言うべしバラエティさこそ、まさに「影の少女rewrite」の特色なのであります。

 

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