11、影 子の多面的人格

 影子は「おとなしい」という性格設定になっていますが、読んでみたら分かり ますように、その一言では片付けられないほど、さまざまな顔を持っています。
 むしろ、その性格の中心にあるのは「無邪気さ、子供っぽさ」であり、これは作者の私自身が、ずっと自作のヒロインたちに与え続けていた「可愛いと思える 女性」の要素でした。影子は、そうした試行錯誤の上に完成した、究極のヒロインだと言う事になります。
 「無邪気で、子供っぽい」だけでは駄目なのです。「おとなしさ」の中に「無邪気さ、子供っぽさ」をかいま見れる事が重要なのです。「おとなしい無邪気 さ」と表現しましょうか。ただの「無邪気さ」とも異なるのであり、「影の少女」では、その描写にかなり気を使っています。
  本来なら、影子の性格はそれだけでも良かったのですが、その後、「幻の少女 影子」(原「ドクガール」)や「恐怖教室」(のちの「ゼカリヤ!」)などで、 積極的に悪を滅ぼすヒロインを演じさせた為、「自分の意志を貫き通そうとする芯の強さ」みたいな側面も付加される事になりました。(その性質は、実際に は、オリジナル版の「影の少女」の時点で、すでに備わってもいたのですが)
 さらに、「二つの仮面の少女」という作品で、二重人格のヒロイン役を やらせてみた際、片方の人格がいつものおとなしい影子なのに対し、もう一つの人格を、不良っぽいボーイッシュな性格にしてみたところ、これも影子にはけっ こう合ってまして、「男っぽい態度の無邪気さ」というのも、影子のはまり役の一つとして、定着していってしまいました。
 影子の決定版である「影の少女rewrite」では、こうした影子のさまざまな魅力を一通り拝む事ができるように腐心しました。登場時、おとなしいだけ の少女かと思われた影子が、ストーリーが進むほど強引で、狡猾になっていくのは、その為だったのです。
  猫をかぶっていた訳でもないのに、人の性格がこんなに幅広く変貌するなんておかしいんじゃないかと指摘する人もいるかもしれませんが、そもそも、実在する 人間だって、その性格は一言で表現しきれないほど多面性を持っているものです。だから、影子についても、このぐらい性格に幅があった方が、逆にリアリズム があったのではないかとも思っています。

 

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