14、ひさおはなぜ死んだのか?

 「影子ちゃんのミュータント宣言」「秘密美少女ドクガール」な ど、多数の影子作品で圧倒的な存在感を見せつける間野ひさおおばさまですが、「影の少女rewrite」では、意外にも、彼女が火事で焼け死んだところか ら話が始まります。もっとも影子に密接した人物であるひさおを、代表作である「影の少女rewrite」で、こんな役回りにするなんて勿体ないと思われる 人もいるかもしれませんが、むしろ、作者としては考え方が逆でして、「究極の影子」を書こうとしている作品で、アクの強いひさおを共演させてしまいます と、影子が食われかねないので、あえて冒頭で殺してしまった訳です。
 もっとも、オリジナル版の「影の少女」でも、影子の母(この時はまだ、配役にひさおは指定されていない)は火事で焼き殺されており、どっちにしろ、「影の少女rewrite」では、ひさおは早々に死ぬ運命にありました。
  謎に満ちた天才女流学者のひさおが火事で怪しい死を遂げ、その一人娘だという影子だけが生き残り、彼女もまた超天才美少女だったという展開は、非常にミス テリアスな空想を膨らませてくれるものであり、今考えると、影子の正体は若返ったひさおだったと言う謎解きも面白かったんじゃないかという感じもします。 ただし、よく調べると、巨匠・楳図かずおが描いた恐怖漫画「洗礼」も同種の展開ですので、オリジナリティという点では、使えないアイディアなのですが。
  ひさおの扱われ方はあまりにもあっけないけれど、全ての事件のきっかけがひさおである以上、事件の全解決もまたひさおに委ねるのが、物語の構成としては適 切だと言えます。ひさおの生死の真相はあやふやのままにしておきたかったので、ひさおの分身的存在とも言うべき兄の山井が、作品のクライマックスには登場 し、影子の問題に無理やり決着をつけてしまいます。唐突にも見える終盤での山井の登場ですが、それもまた、きちんと計算されたものだったのです。

 

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