20、最初にいじめたのは誰?

 教室内における影子いじめは、桐生たちのおこなった「かかし」が全ての元凶だったように、作中では説明されていますが、正一が「見たままに記した、当時の状況」を読み返しますと、実際には、「かかし」以前からも、いじめが始まる予兆はあった事が分かります。
 その直接的なものが、大場の描いた黒板のいたずら書きなのですが、さらにさかのぼってみますと、影子が授業をボイコットするのを最初に気付いたのも大場だったのであります。
  どうやら、いじめっ子三人娘のうち、真っ先に、影子の事が気になったのは、大場だったようです。第9話に付録掲載したファイルを見れば分かりますように、この いじめっ子三人組は、それぞれ異なった環境に育ち、同じようないじめっ子であっても、本当は皆ちがうタイプの出自と人格の持ち主です。そのうち、大場ユミ は、親に愛されず、自分が生きている事も否定的になりがちな少女でした。あるいは、彼女には、同じように、ミュータントゆえに自分に違和感を感じ、自分の 居場所に悩み続けていた影子に、何か自分との共通点みたいなものを感じたからこそ、影子に惹かれ、積極的に干渉しだしたのかもしれません。
 大場は、仲間の桐生や爪田に、影子を嘲笑するようなウワサ話をし、それがきっかけとなって、桐生や爪田も影子をからかって(いじめて)遊んでみようかと言う気持ちが膨らんできて、それが「かかし」につながっていったという事も考えられます。
 「影の少女」が正一の手記である以上、彼の知らない部分については何も記されてはいないのですが、いろいろな情報を組み合わせてゆくと、「かかし」直前に、上記のような過程があったのではないかとも推測できる訳です。

 

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