24、影子は泣かない

 設定上、おとなしくて子供っぽいにも関わらず、いじめられたり、暴力事件に巻き込まれやすい影子は、いつも泣かされてるような印象が強いです。実際、彼女は、いろんな作品で躊躇なく泣いている姿を披露しています。
 でも、「影の少女rewrite」では、影子史上最大のいじめや事件が次々に降り掛かりながらも、影子は頻繁に泣いている訳でもありません。かなり酷い状況でも、彼女は目を潤ましても、涙を流すのまでは必死にこらえています。
 このようなディテールにしたのは、影子が泣いたか、我慢しきれたかによって、彼女が今受けたショックがどの程度のものだったかに、差異を付けようと考えたからでした。
 それでも、これだけ壮絶な物語なのですから、「影の少女rewrite」の中でも、影子は何度となく抑えきれずに泣いてしまいます。
  最初に彼女が涙を見せたのは、第7話の冒頭の方。米田たちの人格改造に失敗した時で、この時は、あくまで一筋の涙をこぼしただけでした。その後、いじめが 原因で泣いた事も二度ほどあった事が判明し、次に影子がはっきりと泣いたのは、第11話と第14話の終盤でした。この時も、彼女が泣いたのは、永山や桐生 たちの人格改造に失敗したからで、どうも、自分の計画が失敗して、誰かを傷つけてしまうと、さすがの影子もたまらずに泣き出してしまうようです。
  第15話でも影子は涙をこぼしましたが、これは本物だったのかウソ泣きだったのか、微妙ではっきりしません。しかし、この時は、自分の身の上の事ではじめ て悲しんだ事になります。第17話冒頭でも、正一に拒絶され、またもや全人類洗脳計画が破綻した事で泣き顔を見せたようです。
 実質上、影子の最後の号泣は、山井博士とのやりとり上で、自分がペットのような存在だと宣告された時でした。この時は、まさに大泣きだったようです。
  以上のように、最初の頃の影子は、自分の実験の犠牲になった人々へのはなむけとして泣いていたみたいな感じでした。しかし、ラストの一回は、自分の為に、 もっとも激しく泣きます。これは、他人の為に生きようとしてきた影子が、最後になって、自分の為に生きる気持ちになった事を暗喩してもいたのです。

 

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