49、多趣味な影子は伏線だらけ

 第10話「いじめっ子にはわかるまい」には、影子の新しい趣味が次々に登場します。一見、物静かな一休みした章のようにも感じられますが、ここに出てくる影子の趣味の数々は、いずれも今後のストーリーに深く関わってくる事になるのです。
  まず、編み物は、のちに影子が手製の防弾チョッキを作ったと言うエピソードにストレートにつながってゆきます。どうでもいいような感じもしますが、かの シーンは手製の防弾チョッキでなければ話にならないので、影子に裁縫の心得があったかどうかは非常に大事な事前情報なのです。
 続いて、絵を書くと言う趣味は、あの「恐怖の色彩」と関連しています。影子の「恐怖の色彩」は、独立して存在したものではなかったと言う事です。あるいは「恐怖の色彩」がきっかけで、影子は絵画をたしなむようになったと言う事なのかもしれません。
 さらに、ホラー映画好きと言うのは、血なまぐさい事にもうろたえないと言う影子の重要な性格をさりげなく示しており、なおかつ、一緒にそれらの映画を見せられた正一にも色々な影響を与えていたようです。
 最期に、影子が動物と戯れたり、海に思いを馳せる展開は、エンディングへの大切な布石となっています。正一にとっては、この時の影子と遊んだ楽しい思い出が一番心に残っていたのでしょう。影子を失ったあとの正一は、この時の記憶ばかりを思い浮かべる事となるのです。
  ちなみに、動物と戯れるシーンでいきなり判明した、嬉しいと声のトーンが高くなってしまうと言う影子の設定ですが、これも、アニメヒロインのような高い声 と、落ち着いた低い声のどちらが美少女にふさわしいかの結論を出せなくて、苦しまぎれに、採用したものだったりします。(笑)でも、実際に、こんな風に声 の幅を使い分ける女の子って、けっこう、いそうな感じもします。

「12、影子の趣味」も参照のこと)

 

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