73、ミュータントはどう生殖する?

 山井博士は、たった一人しか見つかっていないミュータントの影子を繁殖させる為、彼女のクローンを作って、その遺伝子に若干の細工を施し、オス に性転換させて、影子の配偶相手にする、などと提案してましたが、この意見は、それほどバカげたものでもなかったかもしれません。
 と言いますの も、影子と言うミュータントは、染色体の数自体がすでに現人類とは異なってましたので、現人類の男性と性行為をしてみても、二人の間に子どもができる可能 性は限りなく低かったからです。仮に、運良く、子どもが作れたとしても、異なる二種族の生物の間に生まれた混血種なので、その子がさらに子どもを生める見 込みはゼロだったかもしれません。
 影子のような両性具有のミュータントが登場した理由として、本編内では、人間と言う生き物が環境や遺伝子に左 右されず、自分の意志や科学力で世界を操れるようになったからだ、と説明していますが、そのように考えてみますと、今の世界は、確かに、生殖すらも人間自 身が自由に操作できる段階まで来ているのです。
 遺伝子によって定められた方法(性行為)を使わなくても、人間が自力で生殖をできるようになった (試験管ベビーやクローン再生など)と言う事は、すなわち、男女両性が存在する必要が無くなった事を意味し、まさに、影子のごとき一人ぼっちのミュータン トでも子孫を残せる事ができる時代が訪れたという事なのであります。
 将来的に、両性具有ミュータントの性器がどのように変化してゆくのかは分か りません。しかし、彼らは、肉体的に結合する事ができなくても、現時点でも、クローン技術などのおかげで、すでに十分、子どもや同族を作れる状態なのであ り、性器と言う器官自体が、我々現人類とは異なる方向へと特殊化してゆく途上なのかもしれない、とも考えられる訳です。

 

表題に戻ります