76、小指の秘密

 第13話の中盤にて、恐ろしい真実が判明します。なんと、影子の左手小指は、かなり以前に根元から切断されていて、無かったと言うのです。これまでの作中の影子は、ずっと精巧な義指を左手小指の部分に取り付けて、さも五体満足であるかのように見せかけていたのでした。
  この真相を知って、ハッとした読者もいた事でしょう。と言いますのも、第11話には、影子が自分の左手小指を植木バサミでちょん切っちゃうシーンがあった からです。それなのに、その後のストーリーでは、影子の左手小指が負傷している事を示唆するような描写はまるでありません。意図的にその部分をムシしてい るか、あるいは、いい加減な作者が左手小指の事をすっかり忘れたまま、話を書き進めているかのごとくです。
 ところが、こんな場面で、ひょっこ り、左手小指の秘密が判明する仕組みになっていたのでした。「影の少女rewrite」は、まさに全編がち密な計算に基づいて、組み立てられている作品な のであります。影子が左手小指を切断するエピソードがありながらも、しばらくの間、わざとその事を放置し続けたのも、そうする事によって、読者の心に納得 のいかないしこりを残させ、それで不条理な気分(訳の分からないものに対して抱く不安や怖さ)になってもらおうと言う、ちょっとした実験的書き方になって いたのでした。
 ここまでは、影子の左手小指は怖さを引き出す為の小道具として使われるのですが、真相が分かった以降は、積極的な影子の「武器」 として使用されてゆく事になります。第14話では、何やら火花を飛び散らすような仕掛けを施されてましたし、第17話では、忍者の火薬玉さながらに、煙幕 を出して、周囲の目をくらます為に利用されました。
 一見、左手小指が義指だと言うのは、とんでもない設定のような感じもしますが、作中では、いろいろと話に絡めて、しっかりと使われているのです。

「51、改訂版『影の少女』の影響」も参照のこと)

 

表題に戻ります