94、驚愕の「影子の元ネタ」とは?

 最終話では、影子が死んだ事でショックを受け、人間嫌いになってしまった正一が、あらたに飼い始めたメス犬のエコと、まるで家族(恋人)のような生活を始めてしまうと言う、印象的なシーンがあります。
  実は、これは、私自身の学生時代の生活を、そのまま模写したものでした。私が飼っていたのは、メス犬ではなくメス猫です。しかし、正一同様、私は、その猫 と、ほとんど毎日、同じ布団で一緒に寝て、隣同士に座って食事をとっていました。それ以外の時も、たいがいは私たちは共に居て、私が彼女を胸元に抱いて 寝っ転がったり、じゃれ合ったりしていました。ペットなどと言う隔たりを超えて、私はそこまで、その猫と親密な関係だったのです。私が大学を卒業する頃 に、その猫は寿命で死んでしまいましたが、彼女と戯れて楽しかった日々の事は、今でも私の心から消える事はありません。純粋に彼女も私の事を好いていたの がよく分かりましたし、本当に裏表のない相思相愛を、相手が動物だったからこそ味わえたのです。プライドや利害関係を気にする人間の女性相手だと、とて も、ここまでピュアな愛し合いは出来そうにありません。
 これで、お分かりいただけたかと思いますが、「人間じゃない少女」影子との恋とは、つまり、このメス猫相手に私が感じていた幸せな気分が元ネタになっていたのであります。影子は、非人間のペットのような存在だったからこそ、彼女とは真っ直ぐな純愛ができたのです。
  よって、「影の少女」の結論は、現実と逆転する事になります。「影の少女」本編では、正一はメス犬のエコと愛し合う事で、動物の事も人間のように大切にす る重要さを確信するのですが、本当は、作者の私は、ペットのメス猫に人間みたいに接していたからこそ、似たような恋愛を人間相手でもかなえたくて、「影の 少女」のラブストーリーを思いついたのでした。
 私にとって影子は、さまざまなイメージが混ざりあう事で完成した究極の恋人なのですが、その本質的な中核は、この私のペットのメス猫だったとも言えるでしょう。

 

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