96、大人のジュブナイル

  最初の「影の少女」を書いた頃は、私もまだ中学生でしたので、当時はSFジュブナイル(少年向けSF小説)をかなり読みふけっており、自分の書いた小説で も、その影響をだいぶ受けていました。特に好きだったのが眉村卓の作品で、主人公が学生の話を書いた場合は、ほとんど眉村SFタッチになってしまったので した。「影の少女」も例外ではなく、眉村作品から発想のヒントをもらっているばかりではなく、物語の組み立て方まで酷似しています。
 そんな「影 の少女」のリメイクである以上、「影の少女rewrite」も、どことなくSFジュブナイルっぽい雰囲気の作品に仕上がっているのでした。巻末で、語り手 の正一が「生物愛」について読者相手にたっぷり力説する部分がありますが、これにしたって、ジュブナイルの王道的書き方(最後部に、読者の子どもたちへの 語りかけがある)を忠実に盛り込んでいたにすぎないのであります。「影の少女rewrite」の場合、語り手の正一が人間嫌いになるというオチでしたの で、その「語りかけ」の内容も同種の終わり方をしている「ガリバー旅行記」や「モロー博士の島」などに似たものになっています。(学生時代から私は、ウェ ルズのSF小説も愛好していたのです)
 それでも、「影の少女rewrite」を子どもに読んでもらう作品なんて考えるのには問題があるでしょ う。性的いじめの描写が過激すぎるし、主要テーマとなっているいじめ・虐待の話題も、子どもに振ってみるには少し難しすぎるところまで掘り下げているから です。よって、「影の少女rewrite」とは、大人の為のSFジュブナイルなのだと考えてみてもよいかもしれません。やっぱり、どこか一筋縄では分類し きれないような変わった作品なのであります。
 ちなみに、「影の少女」を本格的に幼児向けのジュブナイルに書き直そうと言うアイディアは、私が学生の頃にもひらめいてました。結局は、ギャグ漫画用のタイトルに転用されてしまいましたが、「影子ちゃんのミュータント宣言」というネーミングは、もともと、子ども向け「影の少女」用にと発案した題名だったのであります。

「57、参考文献その2『地球への遠い道』」も参照のこと)

 

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