究極の謎2、影子は本当に死んだのか?

 第17話で、傷つきながら、断崖絶壁より海に飛び込んでしまった主人公の影子ですが、はたして、あのまま本当に死んでしまったのでしょうか。
  作中の説明では、生きている見込みは絶望的みたいな話をしていますが、この手の物語を読み慣れている読者の皆さんとしては、決して、そのようには思わな かったはずでしょう。このような形で姿を消したキャラは、必ず生きているに違いない、と!あまりにもマンネリ化したパターンである為、誰もが、そのように 判断したのではないかと思われます。
 しかし、状況描写面で、そのへんを裏付けるようなヒントは何もなかったのでしょうか。いえ、実はあったのです。語り手である正一自身も気付いていなかったようなのですが、影子が生きている可能性を示唆する描写が、しっかり本編内に書き込まれていたのであります。
  第17話をよく読み直してみますと、隠れ家から出る事にした影子は、この時点で、白いスキーラックを羽織っていました。読み進むと、山井の別荘に着いてか らも、このスキーラックを脱いだ様子は無く、山井に射たれた時も、このスキーラック越しだったようです。実は、このスキーラックこそがとんでもない曲者 だったのであります。
 話をさかのぼって、第14話を読み返せば、影子は自分のスキーラックを改造して、防弾チョッキに作り直していた事が分かり ますが、このラックもまた白なのです。第12話で影子が着ていた防寒服はジャンパー、第15話で着ていたのは革ジャンと言うように、その時々に影子が着て いた服装については明白に区別して表記されていますので、同じ「スキーラック」と書かれた第17話のラックは、第14話の防弾チョッキ仕様になっていた ラックと同一だった確率が非常に高い訳です。
 地球支配計画を止めて、再び人間社会に戻る事にした影子が、まだ自分の身が周囲から狙われている事 を用心して、防弾チョッキのラックを着ていた可能性は十分に考えられるでしょう。さらには、狡猾な影子ならば、防弾チョッキ内に血糊袋を忍ばせといて、そ こから出血させる事で、わざと自分が負傷したように見せかけて、敵を欺くような事だって、やりかねないはずです。実際に、義指の中には煙幕が出るギミック を仕込んでいたのですから。
 そんな訳で、影子は、決して死んではおらず、恐らくは生きているのです。彼女は、まんまと最後の最後で、皆の目をあざむき、うまく身を隠してしまったのでした。

 

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